たいていは物分りのよい女を演じている。
ダブル不倫の場合はそうでもないだろうが、
私のように彼に妻子がいる場合、
濃密な時間を過ごした後、
家に帰っていく姿を見送るのは、
正直きつい。
イヤミのひとつも言いたくなる。
「ほんとに奥さんとエッチしてないの?」
「家で奥さんと何話すの?」
彼は「またか」という顔をして、
「そんなことないない。
オレにはお前だけしかいない。」
しかしさらに私は意地悪く言う。
「同じ屋根の下に住んでるんだし、
何やってるか、わかったもんじゃない。
証明してよ!」
「ほんとに何もない。誓って言う。」
彼は逃げたくて仕方ない。
私とこういう議論を始めると、
私にやり込められるから。
不倫中の女性の方々はどうだろうか?
たまにはこういう文句を言うのだろうか?
最初から不倫とわかっていて、つきあっているのだから、
文句は言わないのだろうか?
ダブル不倫の場合は、
お互いさまだから、そういうことは言わないのだろうか?
「家庭を壊すつもりはない」と
はっきり公言している男性には、
文句は言いずらいだろう。
「いつかは一緒になろう」
と言っている男性には、
文句を散々言って、
プレッシャーをかけてもいいと思う。
彼の場合は後者だ。
かえってタチが悪いのかもしれない。
いつかは一緒になれると期待してしまう。
そして、待ってしまう。
「家庭が大切」とはっきり言われれば、
割り切って、つきあえるのかもしれない。
しかし、割り切った関係のつもりが、
だんだんと深みにはまって…というのはよくある。
不倫は割り切れない。
都合のいい女にはなりたくない。
いつか、素敵な男性が現れたら、
乗り換えてやる!と思っている。
しかし、そう思いながら
もう8年もつきあっている…。