離婚を決意してから、ほどなく、
昔、学生時代につきあっていた人から、
連絡があった。
ずっとかかさず年賀状だけはやりとりしていたので、
それを頼りに電話してきてくれたのだ。
彼は結婚していたのだが、最近離婚したと言う。
そして、近いうち仕事でそちらに行くので、
会わないかと言う。
子供がまだ2歳と4歳だったので、
少し迷ったが、
時間で預かってくれる所を探し、
彼と再会した。
レンタカーを借りて、
彼の下宿があった辺りに車を走らせた。
その下宿はもう取り壊されていた。
しかし、二人でよく通ったお好み焼き屋はまだあった。
一緒にそこで食事した。
お店の奥さんは、彼のことを覚えていて、
しかも私のことも覚えてくれていた。
8年くらい前のことなのに。
しかし、もうすぐここも立ち退きになるという。
寂しくて、懐かしかった。
しばらく思い出の場所をドライブした。
「私、学生時代に比べて太ったでしょ。」
と言う私に、
「君が太ったかどうか、裸にしてみないとわからない。」
と言って、彼はホテルに入った。
彼は昔からあんまりテクニックのない人で、
女にフェラはさせるけど、
自分はクンニはしない男だった。
やっぱりクンニはなかったし、私も要求しなかった。
でも、始めてする浮気の背徳感に
私は酔った。
自分がイッたかどうか、全然覚えていないが、
多分、イってないと思う。
それから半年後、今度は私が彼の住む町を訪ねた。
友人の結婚式だと嘘をつき、新幹線に乗った。
彼の部屋に2泊した。
昼間はあちこち観光して歩いた。
夜は遅くまで、お酒を飲みながら語り合った。
楽しくて時間を忘れた。
別れる時は泣いた。涙が止まらなかった。
新幹線の中でずっと泣いていた。
駅にダンナが子供達を連れて迎えに来ていた。
子供達にすまないと思う一方、
この子達さえいなければと疎ましく思った。
ダンナのことはなお一層、嫌いになった。
何もかも捨てて、彼の元に走りたかった。
しばらくして、彼は結婚した。
もう今は連絡していない。
でも、今でも彼のことは忘れられない。
いろんなタイミングがある。
再会する彼。
再婚する彼。
多分それだけの期間に
凝縮された時間を愛し合いなさいと
神様がくれたタイミング。
なきながら乗った新幹線。
ホームに旦那が迎えに来てた。
なぜいっそう嫌いになったの?
それだけがなぜかぱぱには悲しかった。